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さてさて、「ニーベルングの指環」の第7回〜フルトヴェングラー/スカラ座('50)〜です。 1.全体です。 演奏そのものは非常に熱いです。ライブのフルトヴェングラーの魅力が満載。 テンポは曲想で変るし、情熱的なところのオケの音色・迫力は凄いですね。 ベームとはまた違う次元の熱さが表現されています。 逆にクナ盤の演奏に慣れていると、随分落ち着きのなくスケールの小さい演奏にも聴こえてしまいます。 でも、もともとクナのようなスケール感みたいなものを期待して聴く演奏ではなくて、ひたすらフルトヴェングラーの千変万化の曲想を楽しむべき演奏なので、それができない人はこの演奏は楽しめないでしょう。録音状態含めて非常に好悪の分かれる演奏だと思います。 はっきり言ってメインは上記に記したようなフルトヴェングラーとスカラ座の演奏と、フラグスタートの歌が売りと言ってよいです。 2.録音状態 Gebhardtのリマスター盤(2004年)を購入。 録音状態としては、一応言葉ははっきり聴き取れるし、それなりに観賞用の音楽として認識できる状態になっています。 しかし、初めて聴いた感想はやっぱり音が貧弱だと素直に思いました。 なにぶんテープの欠落部分をディスク録音でつないでいるとのことで、音の良いところとよくないところのつなぎが明確にわかってしまうところがなんとも情けない感じです。 まあ、それでも「ジークフリート」等は結構満足して聴ける部分も多いです。演奏そのものは非常に熱いもので、この演奏の記録が残っていたことに対してありがたいと思わないといけないかもしれません。 3.「ワルキューレ」 1幕から随分貧弱な音(ときどき音が波打っている)ではありますが、演奏はなかなかの熱演です。 トレプトウのジークムントは一般的にはあまりいい評判は聞かれませんが、私はこの演奏に関しては結構頑張っていると思いますね。コネツニのジークリンデもなかなか可憐でいい感じです。 ヴェーバーのフンディングはグラインドルに慣れてしまうとちょっと物足りないかも。そういえば、51年盤のクナ黄昏のハーゲンがヴェーバーで、そのときも物足りなかったですね。悪辣さがあまりない、紳士なフンディングです。 でも考えてみたら別にフンディングを必要以上に悪辣なキャラクターにすることはないんですよね(笑)。グラインドルとかがその方向でまさにはまり役だっただけの話で・・・ ヴェーバーも2幕の最後の方とか結構威厳のある歌になってますし。 1幕最後のジークムントの伸ばしでの金管のフライングはご愛嬌ですが、その後のフルトヴェングラーのオケのあおり方はさすがと言った感じ。多少リズムが崩れても一気に突っ込んでます。 続く2幕の前奏曲も随分気合が入ってます。フランツのヴォータンは初めて聴きましたが、なかなかの貫禄があります。モノローグの部分もうまい。 そしてフラグスタートのブリュンヒルデですが、高音の伸びなど、さすがの歌唱力ですね。 フラグスタートはフルトヴェングラーのイゾルデを聴いてましたが、まんまあの声質で威力的な歌が聴こえてきます。なんという威厳のある声でしょうか。まさに女神様です。 第3幕になると音楽のつくりも随分ドラマチックで、テンポのうねりも大きいです。 音は悪いが、ワルキューレの騎行は勢いがあり、ブリュンヒルデが到着したところの歌唱も素晴らしいです。ヴォータンが現れるところ、フランツの貫禄のある歌も良いです。なかでも最後のフラグスタートの歌からヴォータンの告別と魔の炎の音楽はなかなか圧倒されます。 この感想書くために久しぶりに聴きましたが、結構満足しましたね。たまに聴くといいかもしれません。ただ、いつも聴くには録音状態含めてちょっとつらいかなあ。 4.「ジークフリート」 「ワルキューレ」までと比べると随分音が良いです。(相変わらず音の悪いところとのつぎはぎはありますが) ただ、オケ優位な録音になっているため、ときどき歌がオケに埋もれるのが難点です。 ミーメのマルクヴォルトの歌(演技)がいいですねえ。時として歌というよりも絶叫してる感じの部分もありますが、なかなかおもしろいです。 スヴァンホルムのジークフリートは声自体は若々しく、魅力的なジークフリートです。ヘルマンのさすらい人はちょっと軽くていまいち。 慣れると普通に聴いてしまいますが、ホッターとかと比べると威厳はないですね。 ブリュンヒルデが目覚めるところ以降からクライマックスにかけてのフラグスタートも素晴らしいです。バックのオケもフルヴェンらしい音のあおりやたたみかける様が味わえます。 5.「神々の黄昏」 少々音が引っ込み(こもり)気味です。録音レベルが下がった感じもあり、録音状態はあまり良くないです。 ロレンツのジークフリートがちょっと癖があってがっくりきます。 一方、フラグスタートの方はこれがまた素晴らしい(こればっかり)。 ヴァルナイのような音のずりあげがないため、くどさを感じずに歌をすっきり堪能できます。 「ジークフリ−ト」でさすらい人を歌っていたヘルマンがグンターを歌っているが、こちらの方がキャラクターとして合っています。ヴェーバーのハーゲンはやっぱりちょっと物足りないかも。 最後の「ブリュンヒルデの自己犠牲」あたりを聴いていると、やはりフラグスタートのブリュンヒルデを聴く演奏なのだと再認識してしまいますね。 フラグスタートの歌っている部分は結構何回でも聴きたくなります。 6.まとめ 特に「ジークフリート」が録音状態含めて一番おもしろかったです。 ジークフリート・ミーメ・ブリュンヒルデおよびオケ共に素晴らしい。「ワルキューレ」は 録音状態が残念だがなかなかの熱演です。「神々の黄昏」はフラグスタートのブリュンヒルデを聴く演奏か。 まとめると、フルトヴェングラーによる千変万化・生生流転でデモーニッシュな魅力のある演奏。それ故に個性的で、録音状態を考え合わせるとあまり大きな声でお薦めはできないかもしれません。少なくとも指環初心者には、私は絶対奨めませんねえ。 ある程度指環の内容を録音のいい演奏で覚えた後に、何種類か買い揃えた段階でちょっと聴いてみようか、という演奏だと思います。 ただし、フラグスタートの歌の素晴らしさや、はまると時々無性に聴きたくなるフルヴェンの魔力(特にジークフリート)は捨てがたいです。いつも聴こうとは思わないですが、たまに無性に聴きたくなる演奏といったところでしょうか。 さて、次のPAは「<PA-008>クラウス/バイロイト('53)」の予定です。 |
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