Cla_PA!(クラシックパーキングエリア)

アクセスカウンタ

zoom RSS クラウス('53)の「指環」(ワーグナー)/<PA-008>

<<   作成日時 : 2007/01/12 19:59   >>

ナイス ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

指環感想も終盤に差し掛かってきました。「ニーベルングの指環」の第8回〜クラウス/バイロイト('53年)〜です。
1.前置きです。
実はクラウス盤は当初、あまり買う気がありませんでした。音がそんなに良くなくてオケの音が薄く、演奏内容もいわゆるワーグナー的なものではなくて、異色の演奏という評判を聞いていたから。その一方で、歌手はクナッパーツブッシュ盤とも共通する1950年代最高のメンバーが揃っており、しかも異色ではあるが爆演という話も聞いたため、少し興味が湧いてきました。
確かに録音はそんなによくはない。クナ盤56年と比べて方向性が違うがどっこいどっこい。
(高音側のレンジが広い感じだが、総体的にダイナミックレンジは狭め)。
フルトヴェングラー/スカラ座よりはかなりいい。ちなみに購入したのはArchipel盤。
以下、楽劇毎に述べてみます。

2.「ラインの黄金」
他の楽劇と違い、録音状態が何か人工的に加工されている感じがします。擬似ステレオっぽい感じ。それなりの臨場感はあるが、音質的には不自然なので慣れないと疲れてしまいます。
演奏はクラウスのオペラ表現の手腕が発揮されています。今までカラヤン盤がお気に入りだったが、このクラウス盤もなかなかいいです。
ラインの黄金はあまりがっちりしていたりスケールが大きかったりするよりも、クラウスのように音楽のニュアンスをうまく生かして音楽物語として作ってくれると非常に聴きやすくて楽しめます。
しかも歌手達が非常に素晴らしい。
中でもナイトリンガーには仰天しました。
ナイトリンガーのアルベリッヒはおそらく後年のどの録音よりも自由自在な演技をしているのではないでしょうか?
ホッターのヴォータン・ヴィッテのローゲも素晴らしい。
驚いたのは、シュトルツェがフローをやっていたところ(あまり出番はないが)
この演奏、やはり惜しむらくは録音状態か・・・

3.「ワルキューレ」
冒頭から早めのテンポで重厚な音楽に圧倒されます。
ヴィナイのジークムントはキングやヴィントガッセンのような若々しくて軽い感じとは違い、ぶっとい声で迫力があり、なかなか聴きごたえがあります。演技もなかなかである。
開始早々疲れきった声でいきなり「ダン!」と倒れこむ音まで入っていて度肝を抜かれました。
2幕以降ではホッター・ヴァルナイが素晴らしい。
ヴァルナイのブリュンヒルデは声が後年に比べて若々しく、ダイレクトにパワーが伝わってきます。音程がずり上がる感じも少ない。ホッターの声の迫力・威力も同様。
5場の迫力もすごいです。録音がもっと良かったら・・・
3幕ワルキューレの騎行も早めのテンポで進んでいく。そんなに悪くはないのだが、ヘルムヴィーゲのトーマミュラーがあまりにもクセが強くてこの人の歌だけ苦痛。(ちなみにカイルベルト52年盤も同じ)
クラウスの指揮も1幕最後の追い込んでいくさまが凄いし、3幕においても曲想に合わせてオケをうまく煽り立てていく。

4.「ジークフリート」
上記楽劇と同様、歌手達の声の張りが凄いし、オケも爆演。
ヴィントガッセンの声は若くて張りがあって、ジークフリートの天衣無縫さが際立っていて凄い。ただ、1幕最後は入りを間違えたりずれまくったり歌うところをすっとばしたり、なんだかシッチャカメッチャカになってしまっています(笑)。オケが爆演なため、結構そのまま聴きとおせてしまいますが。
ナイトリンガーも随分イキがいいですね。後年のいろいろな録音と比べても、結構自由自在、やりたいようにやってます。
ホッターとのやりとりが実にドラマチックなこと、この上ないですよ。2幕のアルベリッヒとヴォータンのやりとりが、ここまでドラマチックなものは他にはないです。後に、カイルベルト'52年盤を聴いても同様に凄かった。この頃が2人とも声の全盛期だったかも。
3幕のヴァルナイとヴィントガッセンも相変わらず凄いです。クナ盤よりもさらに若々しい歌の競演です。クナ盤と違って、最後はまさに力と力のぶつかりあいといった感じで圧倒されます。
あまりの熱演に、歌が終わったあとオケのコーダが終わらないうちに拍手がはじまってしまいます。いったんまた拍手は止まりますが、曲が終わった直後の拍手がさらに熱狂的。

5.「神々の黄昏」
序幕のヴァルナイとヴィントガッセンのかけあいも相変わらず若々しい声で好ましいです。
クラウスのバックも自然なテンポでつけていて好感持てます。ヴァルナイは自己犠牲でも抜群の伸びのある声で歌い上げています。
(ちなみに、この最後で「ザー」という持続音が入っていますが、これは水を流すか何かの演出かな?ちょっと興味があるところ・・・)
ハーゲンのグラインドルも声に張りがあります。でも56年クナ盤でも書いたが、やはりこの若々しい声にはクナ58年のような凄みはないです。ハーゲンやフンディングのような役は歌のうまさにプラスしてある種のドスの効いた声の魅力も必要かもしれないです。

6.まとめ
オペラ演奏のツボを押えた表現です。クラウス特有の音楽センスが感じられます。
「粋」という言葉が合うかもしれません。
やはりクラウスはオペラ演奏に長けていた人で、フレーズの流れ・テンポ・リズムにおいて、オペラとして臨機応変に実におもしろく聴けるように表現されています。
曲想が盛り上げるところは早めで煽るし、オケの音もナマナマしく響きます。
まさしく爆演。逆に、クナ盤のようなスケール感は当然ないですね。
ワーグナー的な重厚でうねるようなドラマ感はないですがこういうのもありと思います。
録音さえ良ければかなり人に推せる演奏なのですが。残念ながら録音状態はイチオシできるほどではないのと、ライブ特有のキズ(上記で述べたジークフリートや、バランスが時たま悪くなるところ)をどう感じるかで評価は人により変ると思います。
しかしながら、1950年代のバイロイト黄金時代の生々しい舞台が確かにここにはあります。
普段はあまり聴かないかもしれないですが、たまに取り出して聴いてみたくなる演奏。でも、これより音の悪いフルトヴェングラーよりは聴くかもしれないです。

さて、次のPAは「<PA-009>カイルベルト/バイロイト('52)」の予定です。
Wagner: Der Ring des Nibelungen
Wagner:Der Ring Des Nibelungen

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
ナイス

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
クラウス('53)の「指環」(ワーグナー)/<PA-008> Cla_PA!(クラシックパーキングエリア)/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる