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zoom RSS フルトヴェングラーの「トリスタンとイゾルデ」全曲(ワーグナー)/<PA-010>

<<   作成日時 : 2007/01/21 20:42   >>

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ちょっと気が向きましたので、今度は「トリスタンとイゾルデ」全曲の感想書いてみます。
(その1)はフルトヴェングラー/フィルハーモニア('52年)です。
1.全体です。
フルトヴェングラーの「指環」を聴いたとき、テンポ設定やフレージングにしてもあまりにも劇的で、スケール感みたいなものが感じられなかったのですが、このトリスタンは違います。心底感動しました。
遅めのインテンポ、重厚な音色を基本にして、本当の要所で劇的な要素を組み込むというフルトヴェングラー晩年のスタイルです。スタジオ録音ということも関係あると思いますが、この人の全盛期によく聴かれた劇的なアゴーギクは減っており、そのかわりに、その劇的な表現とスケール感の両者がうまく融合されています。
この人の「指環」みたいにセコセコしたような、落ち着きのないところはなく、実にバランスが良いです。
しかもすごく旋律が官能的に粘っていて、そのロマンチックな表現にうっとりと没入してしまいます。
第2幕のトリスタンとイゾルデによる、逢引きの出会いの場面のドラマチックなこと!じっくりと腰を落ち着けて官能的に歌われる愛の二重唱の素晴らしさ。第3幕前奏曲の、心の底をえぐるような重さ!言い出したらきりがないですが、昔から名演と言われる意味が非常によくわかります。
しかも、オーケストラもベルリンフィルではなくイギリスのフィルハーモニア管なのですが、フルトヴェングラー特有の音の重厚さが存分に発揮されています。ただ、たとえばベルリンフィルだったらもっとこう、推進力とか、うなる低音みたいなものがもっとあるかなあというところもありますが、ないものねだりですね。
3種類(フルトヴェングラー・ベーム・C.クライバー)しか全曲盤は持ってませんが、その中ではうぐいすのもっともお気に入りの演奏です。

2.フラグスタート(イゾルデ)
イゾルデ役のフラグスタートについては言うまでもなく、最高の歌です。
戦前のライナー盤を一部聴いたことがあるのですが、確かに歌唱力は戦前の方がすごかったのだな、というのは理解できました。しかし、あまり録音のよくない状態のものを聴くよりも、このフルヴェン盤聴いた方が感動できます。この盤でも充分魅力的な歌唱です。確かにちょっと太い声になるところはありますが。
よく、第2幕の高音をシュワルツコップがかわりに声を当てたとかいう話が出てきます(恐らく事実ではあるのでしょうが)。それをネタにフラグスタートがいかにこの盤では衰えているかを強調するような評もありますね。
しかし、そんなことを話題にする事自体がバカバカしく思えるくらい、全体としては凄いです。
そんな評に惑わされて、もしこの演奏を聴く機会を逸してしまったら、人生の損失だとすらいいたくなります。

3.ズートハウス(トリスタン)
よく弱いと言われます。この盤の欠点とも言われます。でも、私はそんなに言うほど悪いとは思わなかったです。少なくともこの人のジークフリートよりはキャラクターとしてはあっているのではないでしょうか。
トリスタンとイゾルデの場合、年令設定はおそらく20歳前後ではあるのでしょうが、題材として「不倫」を扱っている点、ある意味大人の恋愛を表現しているものでもあるので、多少年長な声でも合ってるのでは?とも思います。そういう意味ではフラグスタートの声もやや年長気味なので、2人のバランスもあってるかもしれません。
まあ、聴いてるときは頭でそんなこと考えながら聴いてるわけではなく、感性として素直に受け入れられた訳なんですが。
確かに、トリスタンの声・歌そのものの名演を選べと言われると、ベーム盤のヴィントガッセンを聴いたとき、「これこそトリスタンだ!」と思ったのも事実で、こちらの方が凄いと思います。
しかし、ズートハウスでも、この人でないとと思うほどの魅力はないのですが、重くて男らしく、不満はないです。この盤の欠点とか、特に弱いとかは思いません。

4.他の歌手について
クルヴェナールのF=ディースカウも凄いです。むしろ、トリスタンよりも若々しく覇気のある声ですね。歌の表現力の凄さに圧倒されました。後年のC.クライバー盤での声とは段違いです。
(30年近く経ってるから・・・、単純比較はどうかとも思ってはいますが)
ブランゲーネのシーボムは音程が不安定とかいう評もありますが、個人的には別に普通に聴いています。
マルケ王のグラインドルも貫禄たっぷり。出番が少ないのが残念。

5.録音状態
フルトヴェングラーの数ある演奏の中でも1番よい方ではないでしょうか。モノラルであること自体が嫌だという人以外は普通に聴ける演奏だと思います。

さて、指環と違って書き溜めていたわけではないので、次回のPAはいつになるかわかりませんが、一応、ベーム/バイロイト('66)の「トリスタンとイゾルデ」全曲を予定してます。
Wagner: Tristan Und Isolde
Tristan Et Isolde (I) - Suthaus, Flagstad, Thebom

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
こんにちは。
フルトヴェングラーのブログをしているorooroです。
「トリスタン」のコメントを拝見しました。
スタジオ録音ならではの造形となっています。
戦後最初のオペラのライブである、ベルリン国立歌劇場との同曲(2、3幕のみ)は、ライブならではの起伏があります。
「ブリュンヒルデの自己犠牲」は、フラグスタート&フィルハーモニアで2度スタジオ録音しており、これは劇性はなく、音楽的に格調高い仕上がりです。

http://furtoroor.exblog.jp/5848724/
orooro
2007/01/23 10:17
コメントありがとうございました。
お名前はネット上で時々拝見いたしております。
ブリュンヒルデの自己犠牲は確か昔、LPでブルックナー
の交響曲7番(EMI)にカップリングされていたものを所持し
ていました。
確かに落ち着きのある演奏だったのではないかと記憶して
いますが、実はあまり聴いていなかったので印象が薄い
というのが本音です。なにぶん、ワーグナーに興味持ち出
したのがここ2〜3年のにわか仕込みなので、あまりえら
そうなことは言えませんが、フルトヴェングラーの晩年様式
のワーグナーはなかなか味わい深いですね。
うぐいす
2007/01/24 20:09

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