もう、最近仕事が忙しくなってきてブログも更新滞りがちです。 今回はフェレンツ・フリッチャイの話をさせていただきます。 フリッチャイは若い頃から将来を嘱望された人でしたが、白血病を患い、49歳で夭逝した名指揮者です。一般によく言われていることですが、彼の演奏様式はその病気の前後で大きく変化しています。 うぐいすは同じ曲で聴き比べしてないので正確には言えないのですが、たとえばバルトークのオケコンと弦チェレをカップリングしたCDと、<PA>シリーズで感想書いたベートーヴェンの交響曲とでは同じ指揮者とは思えないほどかなり傾向が違っています。 ちなみにフリッチャイについての世評を調べてみました。 彼の病気前の演奏は、非常に精緻で分析的な解釈を行って曲の構築をしていく様や、その音楽の推進力とも相まって、「リトル・トスカニーニ」とも呼ばれたそうです。 一方、病気後はテンポも遅くなり、音楽そのものが起伏に溢れて歌に満ちており、その様は「フルトヴェングラーの再来」と言われたらしいです。病気前後で「トスカニーニ」と「フルトヴェングラー」に例えられるという、非常に劇的な解釈の変貌を遂げています。 とまあ、ネットで調べればすぐに出てくるような内容をあらためて長々と書いてしまったわけですが(笑)、論より証拠、実際に演奏を聴いて見ますと、確かにその変貌ぶりがよくわかります。 曲の性格にもよるかもしれませんが、バルトークの演奏は鋭利な刃物を思わせるように、非常に鋭くきびきびしています。この感覚がなかなか小気味良くて気持ちがいいですね。 一方、感想でも書いたとおり、ベートーヴェンの交響曲は非常にテンポが遅めでフレーズを歌いこんでいくような形で進めています。 本当に別人のように変貌を遂げています。 同じ曲で聴き比べるともっとわかりやすくて面白いでしょうね。 ちなみに、ネットでいろいろ評判見てると、フリッチャイ・フリークの方々はもちろん、一般的な世評含めて、晩年(実際は結構若いんですけどね)の演奏が評価高いように見受けられました。 実はうぐいすが初めて聴いたときも、晩年の、スケールの大きな解釈に感心はしたのですが、なぜか、いまひとつピンとこない感じでした。 こういうタイプの演奏聴くなら、うぐいすはフルトヴェングラーとかを選んでしまうのです。(もちろん解釈は違います。あくまでこのような演奏の「傾向」というのでしょうか) むしろ、最近は病気前のきびきびした演奏により惹かれてたりします。 われながら、天邪鬼だなあと思うのですが。フリッチャイの晩年様式についていくにはじっくり腰を落ち着けて聴かないといけないので、ちょっと億劫になってしまうのです。 もともとフリッチャイは上記の病気前の解釈から出発して世に認められているわけですが、「リトルトスカニーニ」といわれつつも、実はトスカニーニよりも音楽の表現としてあまりアクセントを強調しすぎたりせず、楽器間のバランスも素直な感じがして、あまり違和感がなく聴けるのです。(だから「リトル」なのか?) 晩年の演奏様式もすばらしいと思いますし、これがなかったらここまで有名になってなかったと思うのですが、本来のフリッチャイの味は病気前かなあ、とも思うのです。 まあこんなわけで、おそらくこの感想に共感される方はあまりいらっしゃらないでしょうが、これがうぐいすの素直な感想です。 ところで、今までのうぐいすのブログ話には必ず例外が存在しています。 今回も同様に、晩年の演奏でうぐいすがすごいと感心している演奏が実はあります。 ウィーンフィルを振ったブラ2のライブです。以前ブラ2の感想で触れたことがあり、そのときは総合的にベーム/ロンドン響の方に軍配あげてはいますが、このフリッチャイ/ウィーンフィル盤はその演奏の熱さにおいて非常に特筆すべき演奏と思います。 曲想に合わせたテンポのアゴーギクや、思い入れたっぷりに粘る旋律、普段のウィーンフィルでは考えられない荒々しい強奏、まさしくフルトヴェングラーを彷彿とさせるような演奏に仕上がっています。 (むしろ、実際のフルヴェンのブラ2の方が直球な感じがします) これは、ブラ2を聴くというよりはフリッチャイの演奏を聴くという演奏ですね。この演奏も賛否両論あるようで、これもまた共感得にくい感想かもしれません(笑)。 それはそうと、10年くらい前にフリッチャイ・エディションとしてフリッチャイの演奏がまとめて再発された時期があったのですが、そういう企画が出ることに関しては素直に感謝したいと思います。それがあってうぐいすはフリッチャイの演奏に出会うことができました。 フリッチャイがそうかどうかはともかく、埋もれそうな演奏家の発掘をレコード会社は定期的にどんどんしてくれるとうれしいです。 Bart?k: Concerto for Orchestra / Fricsay
|
<< 前記事(2007/04/20) | ブログのトップへ | 後記事(2007/05/02) >> |
タイトル (本文) | ブログ名/日時 |
---|---|
バルトークのオケコン!(管弦楽のための協奏曲)<PA-110>
本日は久しぶりにバルトークの管弦楽曲を聴いてみたくなりました。 「オケコン」の略称でも呼ばれる、「管弦楽のための協奏曲」です。 ...続きを見る |
Cla_PA!(クラシックパーキングエリ... 2008/03/26 22:14 |
内 容 | ニックネーム/日時 |
---|
<< 前記事(2007/04/20) | ブログのトップへ | 後記事(2007/05/02) >> |