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気が向きましたので、久しぶりにワーグナーの話題をしてみます。 ちょっと間が空きすぎましたが、カイルベルトの1955年盤の指環の感想書いてなかったので、ちょっと書いてみようかなあと思います。 1.まずは全体です。 なんといっても初のステレオ全曲録音、しかも50年代のバイロイトで活躍した歌手の全盛期における録音と言うことで、大いに期待して購入しました。 結果としてはおおむね期待通り、といったところでしょうか。 歌手は期待通りでした。中でも、全盛期のヴァルナイのブリュンヒルデをステレオ録音で聴くことができるとは、正直夢のようです。 ホッター・グラインドル・ナイトリンガー・ヴィントガッセンなども、全盛期の状態を良い音で聴くことができます。 カイルベルトも手堅くまとめています。バイロイトのオケも特有の引っ込んだ感じはありますが、音自体は結構ダイレクトに聴こえてきますし、爆発するときの迫力や、ゆったりとした細やかな表現も生々しく聴こえてきます。 しかし、これがショルティやベーム、クナッパーツブッシュを超えるベストチョイスとするかというと、ちょっと微妙です。なぜなら、録音状態がやや安定感に欠ける部分があるからです。 やはり時代を考えると驚異的な状態で録音されたものと思います。臨場感もたっぷりで、大部分においては満足のできる録音ですが、たとえばワルキューレの1幕最後の部分が音程が下がっていってしまうとか、3幕終わりの方の、ブリュンヒルデがヴォータンに訴えかける最後の部分の音像が安定しないとか、ジークフリート3幕最後の音質がビリつくとか、部分的にがっかりするところがあります。 ここで指摘した部分は、個人的にすごく好きな部分なので、ここまですごい録音なのに、なぜ肝心なところで!と悔しい思いをしました。 逆に言うと、ここの録音がよければ、うぐいすは歌手・指揮・オケ・録音のバランスがいいという意味でベスト盤としていたかもしれません(笑)。 2.歌手について 主要なメンバーについてはほとんど文句はありません。 ホッター・ヴァルナイ・ヴィントガッセン・グラインドル・ナイトリンガーについては不満はないですね。 ジークムントのヴィナイもいい感じです。 ブロウェンシュテインのジークリンデは56年のクナッパーツブッシュ盤でも出演していましたが、歌い方にちょっとクセがあってうぐいす的にはあまり好みではないですねえ。あと、キューンは聴くときの気分によってちょっと微妙です。ただ、前にも書いたとおり、この盤での歌は結構聴けます。 他のメンバーに不満はありません。 3.ラインの黄金 やっぱり音がいいです。ナイトリンガーの生き生きとしたアルベリッヒの歌・演技がリアルに聴こえてきます。ナイトリンガーの残したアルベリッヒとしては、52・53年のバイロイトの方が生きが良いのですが、録音状態が悪いので、彼の出来と録音状態とのバランスを考えると、この55年録音を聴くのが一番かもしれません。 ホッターのヴォータンもいいです。非常に若々しい声です。 よく考えたら、ホッターが「ラインの黄金」でヴォータン役やったステレオ正規録音はこれだけ?(それ以外の楽劇ならショルティ盤がありますが) ヴォータンとローゲがニーベルハイムに降りていった後くらいから「ザー」っという音が聴こえるのですが、これは演出?雑音? (ニーベルハイムからまた上に戻った後には聴こえないので演出だとは思うのですが) 最後のヴァルハラへの入城も堂々たる締めくくりです。 4.ワルキューレ 冒頭からなかなかすごい迫力です。ただ、ヘッドフォンで聴くと若干、ステレオの音の定位が揺れているようですが、音自体はすごいです。 ヴィナイのジークムントはすでにクナッパーツブッシュやクラウス盤で知っていますが、男らしい太い声で魅力的です。 他の録音ではもっと図太いイメージがあったのですが、録音が良くなったせいか、少し若々しくも聴こえます。 グラインドルのフンディングも録音状態が良いとよりリアルなすごみがあります。1幕は最後の最後で、音程がどんどん下がっていくところが、かえすがえすも残念です。 2幕も録音がいまひとつ安定しませんが、歌手・演奏は文句なしです。ホッター・ヴァルナイの声の威力とその安定感がすごいです。ヴォータンのモノローグの表現力のすさまじさ!他のホッターの録音と比較しても一番かもしれません。背筋がヒヤッとします。5場のジークムントとフンディングの戦いの場面も迫力があります。 3幕も、音がビリつくところがありますが、途中までは満足のいく録音です。ヴァルナイとホッターのやりとりや、それを支えるオケの内容はいちいち書けませんが、すばらしいです。 なんといってもヴァルナイの神々しいまでのブリュンヒルデがすばらしいです。 最後のヴァルナイの部分でモノラルっぽい音像の偏りが(右側の音圧が下がったような感じで、まだステレオっぽくも感じる)発生してしまうのが残念ですが、録音自体は良いので、残響や臨場感のある音でこの部分を聴けることには素直に感謝したいです。 その後のヴォータンの告別と魔の炎の音楽もすごいです。 5.ジークフリート カイルベルト55年盤のなかで一番最初に発売されました。 最初聴いたときはなによりも、その音の良さに驚嘆しました。 たまに音がビリつくこともありますが、音の臨場感がとにかくすごいですね。人が動く音や、鍛冶の音など結構生々しく、目の前で演じられてるかのように錯覚してしまいます。 出演している歌手はほとんど全盛期を迎えている最高の状態と思います。ホッター・ナイトリンガーは50年代初期の方が若々しい声ですが、この盤でも十分満足できます。 ヴィントガッセン・ヴァルナイも申し分ありません。 キューンはあまり好きな歌手ではないのですが、この盤での歌は結構いいです。それでも聴くときの気分によって癇に障る時もありますが(笑)。 カイルベルトは相変わらず手堅く小さくまとめているといった感じで、好感は持てますが、あまりスケール感はありません。 しかし、場面に合った表現はしています。 6.神々の黄昏 序幕、夜明けからラインへの旅までの部分ですが、いままで聴いていたクナ盤等のヴィントガッセン・ヴァルナイの録音でも十分満足でしたが、音が良くなるとその魅力も倍増です。 神々しいまでに声の伸びがすごいヴァルナイと天衣無縫なヴィントガッセンの歌は文句なしです。 グラインドルのハーゲンもあいかわらずドスがきいてます。 何回も同じ事言ってていまさらですが、やはりグラインドルの貫禄のある悪役声にはしびれます。ただ、グラインドル自身の出来は、クナ盤の方が上のような気がしますが、グラインドルのハーゲンを鮮明な音で聴けるということで、この盤の価値は非常に高いです。 ブリュンヒルデの自己犠牲もいいです。 ウーデのグンターは役に合ってますね。ブロウェンシュテインもグートルーネだと違和感なく聴けます。 オケはおおむねいいのですが、金管などが、ときどき不安定になるところがあります。 7.まとめ さて、あらためて他の演奏含めてのこの盤の位置づけですが、微妙です。 一応、ショルティやベーム同様、初心者にも進められる演奏という位置づけに近いのですが、肝心なところで録音状態が安定しないで興をそがれてますので、ここは結構減点ですねえ。 でも、「ラインの黄金」「ジークフリート」「神々の黄昏」はおおむね合格点つけられます。 「ワルキューレ」も演奏・歌そのものはすばらしいです。 あとは部分的に安定しない録音状態をどうとらえるか、に尽きます。 録音の安定感という意味で一押しとは言えませんが、ショルティのカクカクリズム(笑)が苦手な方は、ぜひ一度は聴いておくべき演奏と思います。 また、主力のホッター・ヴァルナイ・ヴィントガッセン・グラインドル・ナイトリンガー等の歌手が好きな方は絶対に聴くべき録音です。 特にヴァルナイのブリュンヒルデは、ワルキューレの一部に残念な部分があるものの、バイロイトのステレオ正規録音はこれだけです。ヴァルナイ・ファンには感涙ものです。 カイルベルトの演奏は手堅くまとめていますが、たまに度肝を抜くような音を出しています。そういう意味では、その場その場の曲想に応じた音楽をつくって、うまく曲を演出しています。 ただ、クナみたいな特別な個性を求めている方には物足らないかもしれませんが、普通に聴くには心地よいです。 結論 1.初心者に薦める: ショルティとベーム。 2.個人的な好み: ・いつも気軽に聴くならカイルベルト('55)・ベーム ・じっくり聴くときはクナ('57)・クナ('58)を聴き分け。 ・たまに綺麗なものを聴きたいときはカラヤン。 ・部分的にショルティ(ワルキューレの騎行・ジークフリート1幕) 3.話のネタ(いずれも音悪し): フルトヴェングラー・クラウス・カイルベルト('52)。 ちなみに、うぐいすは最近指環を聴くときはカイルベルト('55)ばっかりですね。歌手が良いし、気軽に聴けて楽なんで(笑)。 ワーグナー:楽劇「神々の黄昏」
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| 内 容 | ニックネーム/日時 |
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はじめまして。 |
ダンベルドア 2007/08/02 23:30 |
コメントありがとうございます。 |
うぐいす 2007/08/03 20:45 |
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