Cla_PA!(クラシックパーキングエリア)

アクセスカウンタ

zoom RSS ベートーヴェン:弦楽四重奏第14番<PA-029>

<<   作成日時 : 2007/08/02 21:06   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

さて、今回はベートーヴェンの弦楽四重奏14番です。
実は、うぐいすが偶然FMラジオで耳にして、後期の四重奏にのめりこむきっかけになった曲です。

初めて聴いた16番や、後期四重奏全集買ってから大好きになった12番にも思い入れはあるのですが、ラジオでたまたまこの曲を聴かなければ、ベートーヴェン後期四重奏に夢中にはならなかったと思います。
それまで四重奏といえば、モーツァルトのような軽いものしか知らなかったうぐいすにとって、室内楽のジャンルにも、なんという沈潜とした世界があるものかと驚いたものです。

楽章も7つとなり、しかも全曲切れ目なしで演奏されるという、13番よりさらに革新的な構成になっています。
内容は、瞑想的な1楽章の後、ほっと一息つくかのように生き生きとした曲想の2楽章、経過的な3楽章を経てスケールの大きな変奏曲形式の4楽章。その後、諧謔的な5楽章から経過的な6楽章を経て、劇的で情熱的な7楽章で閉めるという流れです。
従来の形式から離れて、非常に自由になっています。その一方で、全体を通して、ひとつの大河ドラマのように有機的に流れていく構成を見ていると、独自の大きなストーリーが構成されているという点において、実に天才的な発想から生まれた音楽だということをつくづく感じます。
うぐいす個人的にはなんといっても2楽章と5楽章がたまらなく好きです。

・アルバン・ベルク弦楽四重奏団('83)
相変わらず、線は細いですが、非常に綺麗でうまいですねえ。
5楽章の楽器間のアンサンブルがこんなに合っている演奏は他にはありません。
このリズムって、絶対に偏って引きずりますからねえ。
この演奏だけを持っていたらそれはそれで満足できます。
全体として結構瞑想的な雰囲気もありますし、5楽章のsul ponticelloのところとか、かなり表現主義的に思い切ってかすれた音にしていたりと、後期の革新的な面は味わえます。
でも、7楽章とかアクセントが強調されすぎていたり、ちょっとやりすぎな部分もあるかなあという感じもします。
この曲に対してロマン的な旋律の歌いまわしと共に、瞑想的かつ前衛的なものを求めるときにはこの演奏はいいのではないでしょうか。

・スメタナ弦楽四重奏団(旧、'70)
基本的にスメタナ四重奏団がこの頃に録音した後期四重奏全般に通じるのですが、アルバン・ベルクのようにエキセントリックではなく、情感豊かな音色と抑揚で、テンポ速めに前進していく演奏です。それが非常に生き生きとした表情になって聴こえてきます。
音楽としては健康的で聴いていて気持ちの良い演奏です。
あまり物思いにふけるのではなく、普通に音楽そのものを楽しめます。
ただ、瞑想的だったり、前衛的な部分を求める方には向かないかもしれません。

・バリリ弦楽四重奏団('52)
これも13番に通じる感想になりますが、非常に温かみのある音色で歌い上げていく演奏です。そうは言うものの、1楽章は意外と柔らかな音色で瞑想的な雰囲気もうまく出ています。
2・4楽章は癒しの極致です。これを聴いているともう何もせずに音に身を委ねていたくなってしまいます。
5楽章もひたすら同じ路線です。あまり派手な立ち回りを期待する向きには合わないでしょう。さすがにうぐいすも5楽章はちょっと聴くときによってはたるんでしまいそうです(笑)。
その割りに、意外と7楽章は勢いもあるし、結構おもしろいです。
全体通して、歌うことに比重を置いた、14番の中ではちょっと異色な演奏ですね。
この演奏、うぐいすは1・2・4楽章がお気に入りです。

・ブダペスト弦楽四重奏団(旧、'51)
録音のせいもあるのかもしれませんが、やはり新盤と比べると音色に潤いが感じられます。こちらの方がモノラルで録音良くないのですけどねえ(笑)。
テンポもメリハリがあってノリいいですね。
う〜ん、やっぱり後年よりもロイスマンのVnが良く聴こえますね。
でも、この頃の他の団体と比べると確かに他の楽器も良く聴こえてはいます。
しかし、ロイスマンの音色がまた、渋いながらものびのあるいい音色なんですね。
アンサンブル含めて、ブダペストは後年よりもこのころの方が好調期じゃないですかねえ。

・ブダペスト弦楽四重奏団(新、'61)
相変わらず、楽器が均等に聴こえて、本当にドライに曲の構成がわかる演奏です。13番の時にも書きましたが、ある意味本当にかっちりしたベートーヴェンが味わえる演奏です。
なんというか、無骨で不器用ながらも、たくましく引っ張ってくれるような、「親父の背中」を感じさせるとでも言うのでしょうか(笑)。
ただうぐいす的には、14番の場合はもうちょっと情感というか、潤いが欲しいような気がします。
この新盤は結構ドライで厳しい表情になってしまっています。ちょっと渋すぎかもしれませんねえ。リズムも結構あやしいところありますし。
でも感心させられるところもいっぱいあります。5楽章のsul ponticelloから普通の音色に戻るところの鮮やかさははっとさせられました。

・ブッシュ弦楽四重奏団('37)
ブッシュ四重奏団の演奏の中でも、これは白眉の演奏ではないでしょうか。
ドイツロマン的な演奏様式がちりばめられている名演です。
1楽章は落ち着いたテンポで進められ、瞑想的な雰囲気が醸し出されていて、なかなかいい感じです。
2・4楽章も情緒たっぷり、ロマン的でいいですね。ときどきポルタメントのような古い様式が出たり音程が不安定になったりもしますが、それを気にしなければ聴ける演奏でしょうね。
(ポルタメントも、当時の団体としてはあまり多用してませんし。)
5楽章は非常に活気のあり、7楽章も推進力のある演奏です。
音が悪いので頻繁には聴きませんが、たまに取り出して聴いてみたくなりますね。

14番は、どれもそれぞれの個性で聴かせてくれる演奏で、どれがベストとか言えないですねえ。やっぱりアルバン・ベルクかスメタナが初めて聴くには無難なところでしょうか。
さて、次回は15番の予定です。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
ベートーヴェン 第14番嬰ハ短調 作品131 ブッシュ四重奏団 1936年
今回の後期サイクルでは往年の名カルテットによる録音を採り上げているが、今回はブッシュ四重奏団。第1ヴァイオリンのアドルフは、ブッシュ3兄弟(4兄弟?)の次男(長兄は指揮者のフリッツ・ブッシュ、三男はこのカルテットにも参加しているチェリストのヘルマン・ブッシュ)。その娘のイリーネは後にアドルフの盟友ルドルフ・ゼルキンと結婚している。その二人の間に生まれた鬼才がピーター・ゼルキンであるから、サラブレッド家系となる。 ...続きを見る
String Quartets
2007/08/15 22:00

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
ベートーヴェン:弦楽四重奏第14番<PA-029> Cla_PA!(クラシックパーキングエリア)/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる