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zoom RSS 番外編:ショスタコーヴィチの第8番について

<<   作成日時 : 2007/10/16 21:04   >>

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なにやらあいまいな表題ですが、弦楽四重奏曲第8番の感想書いてたときに、ふと、ショスタコーヴィチの曲と戦争とのかかわりを考えてみたことがあったので、ちょっとあらためて書いてみようかなあと思ったのです。

さて、ショスタコーヴィチが戦争と直接的に関わりのある曲というと、交響曲第7番と第8番が思い出されます。
特に第8番について述べてみますと、これがまた、べらぼうに長くて重い曲です!特にこの1楽章!(笑)
なんなんでしょうか、このひきづるような重さは。
ただでさえ、毎日重い日々が続いている戦争中に、こんな曲を聴かされちゃあ、たまったもんじゃないですね(苦笑)。
やっぱり当局の評判もすこぶる悪かったようです。

しかし、純粋に曲そのものはうぐいすも傑作だとは思います。って上記で悪口言ってて説得力ないかもしれませんが(笑)。
1楽章が特に圧巻なのですが、つづく2・3楽章の荒々しさ、4楽章の悲壮感もさることながら、5楽章の穏やかな曲調から悲劇的な流れになりまた静かに消えていく劇的なさまなど、まさに仰ぎ見るような曲とはこのことです。
もっとも、あまりに重くて聴く機会は圧倒的に少ないのですが(笑)。

それに対して、弦楽四重奏の8番ですが、これはもう戦後の1960年、映画音楽のための取材として、ドレスデン爆撃の跡地に行った際に、衝撃を受けて作曲されたものです。
その結果作曲された音楽は、直接的でドラマチックではあるものの、わずか20分前後の、戦争への怒り(表向き)が凝縮された結晶のような曲です。

戦争中に作曲され、その重苦しい思いが拡大方向に向かわせた壮大な交響曲第8番。戦後に爆撃地を訪れた時に作曲された、怒りと恐怖が凝縮された珠玉の弦楽四重奏曲第8番と、実に対照的な「8番」です。

ちなみに、ショスタコーヴィチが弦楽四重奏8番を書くきっかけとなった、ドレスデン爆撃ですが、ちょっと調べてみると、ドレスデン市街の大半を破壊し、たった二日間(三日目も前日までよりは少な目の爆撃あったようですが)で貴重な文化遺産を焼き尽くした第2次大戦中最大規模の無差別爆撃で、相当ひどい惨状だったようです。
さらに、軍事作戦的にあまり意味がなかった(米英の、ソ連への力の誇示とも言われてますね)とか、国際法にも違反してたとかいう話もあり、ナチスから爆撃受けていたイギリスの国内ですら、批判の声が上がったとのおまけつきです。

ショスタコーヴィチはレニングラード包囲戦など、深刻な戦争体験もしていたと思ったのですが、ドレスデンへの訪問であらためて衝撃を受けたという点、ちょっと興味深いですね。
レニングラード包囲戦も深刻な状況だったと聞くのですが、やはり市内にいて持久戦(総日数で約900日、ショスタコーヴィチはずっといたわけではないかもしれませんが)を見つめている、じわじわくる不安や惨状と、短期間(三日間)でも一気に何もかもなくなってしまう直接的な破壊の爪あととは印象が違ったのかもしれませんね。
あと、四重奏の8番作曲した当時、ショスタコーヴィチの精神的危機みたいなものも関係あったそうなので、個人の精神状態というレベルまで追い詰められた状況があったのでしょう。

戦争交響曲といわれる7番・8番が重厚壮大になっていったのは、レニングラード攻防戦のような持久戦において、じわじわと迫る不安により、戦争の姿が次第に巨大な(ある意味ヴァーチャルな)恐怖のイメージとなって拡大していったんでしょうかねえ。
一方、弦楽四重奏8番は、ドレスデン爆撃のような直接的で圧倒的な破壊の痕跡を見せ付けられたことと、自己の精神荒廃が重なった結果、戦争が等身大の自己のものとなって昇華して、凝縮された怒りの結晶のような形になったのかとも思いました。

まあ、交響曲は表向きの顔がメインで、四重奏は自己表現に集中しているという使い分けがあるのも、その違いの差なのかもしれませんね。
(むしろその方が強かったりして)

今回、ショスタコーヴィチの弦楽四重奏の感想を書いていて、あらためていろいろ考察を重ねる機会が出来て、うぐいす的にもなかなか有意義なシリーズでした。
またしばらくはお気楽ブログとしてのらりくらりと(笑)思ったところを書き連ねていこうと思ってます。

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うぐいすさん、こんばんは!
8月のクインテット、第8番に始まり(実はこれらが9月に拙ブログにてDSCH特集をした大きな切っ掛けでした(笑))、今月の大特集、読み応えがあり大変有意義な時を過ごすことができました。有り難うございますm(_ _)m
最後のこのエントリーもたんなるエピローグではなく、とても勉強になりました。(是非このような素敵なエントリーもブログ村「弦楽四重奏」に加えてください!)
ところで、もし機会があればクレーメル、カシュカシアンといったソリスト達による第15番(CBS/SONY盤)もお聞きになられてみてくださいませ。とても臨時カルテットとは思えない緻密で妖しい(?)涅槃の世界がひたひたと奏でられています。
さて、明晩は古典四重奏団による第2ティクルス、いかにして早く帰るかを策をめぐらしています(爆)。
凛虞
2007/10/16 21:45
凛虞さん、こんばんは!
あらためて読み返してみると、曲を知らない方や長文が嫌いな方にはまさにソッポ向かれそうな内容でしたね(笑)。長々とした駄文にここまでお付き合いくださいましてありがとうございました。

クレーメルの組んだカルテット、演奏は聴いたことないですね。彼のブラームスのヴァイオリンソナタ1番を思い浮かべると、ショスタコーヴィチなどもなかなか合ってそうでゾクゾクします(笑)。

凛虞さんのブログが休止状態なのが寂しいところですが、うぐいすはまたしばらく、気ままで思うままのブログを続けますので、また気が向いたらよってください。(そのうちバルトークの四重奏感想もやってみようと画策してますが)
うぐいす
2007/10/16 22:49

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