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zoom RSS ベートーヴェン初期四重奏シリーズ(第2回):弦楽四重奏曲第1番<PA-158>

<<   作成日時 : 2008/07/11 20:29   >>

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今日は早く帰って来れました。またまた間が空きましたねえ〜。
今回はベートーヴェンの初期四重奏シリーズの第2回目、第1番を取り上げます。
ベートーヴェン初期の曲は、何かとハイドン・モーツァルトの影響を指摘されますが、第1番はベートーヴェンの色が出ていますね。

話が少し脱線するかもしれませんが、ベートーヴェンの真骨頂は各楽器間の有機的で建築物を思わせるような構成(対位法的な処理も含みます)の組み合わせと、絶妙なリズムの処理による緊張感の創出にあると思います。

あんまり長くなってもなんなので、構成についてはちょっと置いといて、リズムの例としてはざっと考えただけでも、交響曲の5番や6番の1楽章の第1主題先頭の8部音符の追加、7番の1楽章や9番の2楽章のどこか毛躓きそうな付点音符付のリズム、ピアノ協奏曲第5番「皇帝」の3楽章主題のシンコペーションのような、これまた毛躓きそうなリズムなどがありますね。
このあたりのリズムの変化や工夫による緊張感の創出には目を見張るものがあります。
あと、抑揚や強弱も含めるとスフォルツァンドや強弱の対比なども数え切れないくらいの例があります。

今回エントリーの弦楽四重奏1番は確かにその明るい曲想や1st Vn主導な曲の構成など、モーツァルトなどの影響が残っていますが、一方で1楽章の軽快で明るいながらもカチッとした構成感や、ところどころにでてくるスフォルツァンドやシンコペーションのリズムの組み合わせ方がモーツァルトなどとは少し違ってきているように感じます。

3楽章もベートーヴェンの後年のスケルツォとはさすがに比べるべくもないですが、でも同時期の交響曲第1番や第2番のように、リズムの処理の仕方にベートーヴェンらしい緊張感が出てきています。
そもそも冒頭からして、ハイドンやモーツァルトとは一線を画しています。
おそらくこの曲中でもっともベートーヴェン「らしさ」が現れ始めている楽章かもしれません。
4楽章のロンド形式ですが、その中身は非常に優美ながらも彼特有の堂々とした構成が感じられる曲です。

で、中でももっとも特徴的なのは2楽章で、この時期には珍しく情緒的かつ深刻な内容です。
なぜこのような曲を書いたかということにはあまり興味はないのですが、この楽章の持つ沈み込んでいくような曲想、時折流れてくる叫びのような連続音の塊、沈痛なだけではなくそこかしこに意思の力のようなものが感じられる点は特筆すべきものがあると思います。

さて、今回取り上げる演奏は、ジュリアードQの全集、64-70年録音の旧盤です。
この演奏も名演ですね。1番も非常に歯切れが良いですし、とにかくリズムやフレーズの処理がカチッとしています。
非常に現代的で聴いていて小気味がいいです。それでいて、アルバン・ベルクQなどのようなあまり顕著なアクセントなどはありません。
5番や6番などのような喜びに溢れた曲も生き生きしていていいですね。
ベートーヴェンの意図したリズムや強弱の対比などの曲の構成をありのまま味わうには最適な演奏です。
また、1番の2楽章や4番など、ほの暗い情感を含んだ曲などにおいても、あまり甘くならずにありのままの曲の構成を表出していて、凄く聴きやすいのです。

その一方で、最近初期の演奏を聴く場合、その構成と同時に、初期の曲が持つ優美さや柔らかさを味わいたいときが多くなってきまして、ジュリアードQの演奏、聴く頻度はあまり多くないのです。

そういう意味では、1番については最近のうぐいすの愛聴盤はズスケQです。
意思の力とか緊張感を味わうというよりは、曲の構成が明快であると同時に初期の瑞々しい柔らかさが味わえる逸品です。
音色も甘くなりすぎず、聴いていて心地が良いです。
あとはまたこれか!という感じですが、クリーヴランドQのも勢いや覇気のある名演です。これもやりすぎてないところがいいですね。

さて、次回は第3回、四重奏の2番の予定です。

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
うぐいすさん、こんばんは!
第1番は古典としての様式を充分に尊重した上で、きわめて意欲的な筆致となっていますね。シュパンツィッヒがなぜこの曲を第1番とするよう薦めたかが分かるような気がします。(同時に、なぜ第6番をこの作品18の最後にもってきたかも興味深いことと思います。)
初期の演奏に関しては、一時期から「佳い演奏は多いけれども、名演は少ない」と思うようになってしまいました。やはりそれだけクリーヴランドとズスケの存在が大きいのだと思います。

余談となりますが…来月初旬は8月9日に命日を迎える作曲家の特集を組もうと思っております。(←またかよ(激爆)。)
凛虞
URL
2008/07/12 01:21
うぐいすさん、おはようございます!
ベートーヴェンの初期弦楽四重奏曲は、中期・後期ほど偉大でないので、各カルテットとも色々なアプローチを試みているようで、聞き比べするのは楽しいですね。私は先日、ジュリアード旧盤の4番を聴いたのですが、確かに優美さ・柔らかさはありませんが、ジュリアードらしいリズム処理が他で聴くことのできない、良い演奏だと思いました。初期はもちろん、ズスケも良いですが、私は昔のバリリSQの演奏が忘れられないでいます。
アルトゥール
2008/07/12 06:16
うぐいすさま お早うございます

ベトベン、初期の曲集も素晴らしいものですね。1番では2楽章が印象的ですね。あれほどの哀歌をどうしてあそこに置いたのか?私には分かりません。

ジュリアードの演奏、沖縄でも少し聞いたのですが、久しぶりに聴いてみると、音の響きの少ないスタジオ録音ではないかなって思います。それで、エコーが全くないところで、あの峻厳な演奏、孤高というか、厳しい演奏ですよね〜。

ミ(`w´彡)
rudolf2006 in Okinaw...
URL
2008/07/12 09:52
凛虞さん、おはようございます!
コメントありがとうございます。

作品の出版ともなると曲の順番含めた全体の構成感は大事ですね。確かに作品18の最初を飾るのに相応しい曲です。今回あらためて作曲の順番に曲を聴いてみたりすると、ベートーヴェンの作風の移り変わりが少し見える気がします。やはり3番などは古典的な傾向が強く、後半の5・6・4番も時系列的にベートーヴェンらしくなってきている気がします。

初期に名演が少ない、というのは至言かもしれません。各団体の色というか、アク(笑)みたいなものが強く出すぎて、曲そのものを楽しませてくれる演奏が少ないのかもしれません。

来月、また「彼」なのですね(笑)。最近、ヴァイオリン・ソナタも結構頻繁に聴くようになってしまいました。2楽章が耳から離れないのですよ。時々口ずさんでしまってます(爆)。
うぐいす
2008/07/12 09:59
アルトゥールさん、おはようございます!
コメントありがとうございます。

あらためて思ったのですが、初期の曲って意外と演奏を選ぶなあ、と(うぐいすだけかもしれませんが)。立派な演奏はいくつもあるのですが、聴いていてホントに飽きない、何回でも聴きたいと思う演奏は少ないです。もっとも、それも人それぞれなんだとは思うんですが。

ジュリアードQはリズム処理の小気味のよさから入手して頻繁に聴いてました。最近聴くのはズスケQとクリーヴランドQが多いですね。バリリQは以前5番をエントリーしたときに少し書いたのですが、今回も触れようと思っています。
うぐいす
2008/07/12 10:12
rudolf2006さん、おはようございます!
コメントありがとうございます。
沖縄、満喫されているようですね!本日最終日のようですが、最後まで十分ご堪能ください!

2楽章、すごいですね!あの曲の中で、いきなり深刻な内容です。でもあの楽章のおかげで曲として引き締まった感じになっていて面白いです。1番はあの楽章のおかげで初期の中では4番・5番と共に聴くことが多い気がします。

ジュリアードQの演奏は残響少ないですね。それもあって曲の構成がよく聴こえます。おっしゃるとおり孤高な厳しい感じがするので、最近はあんまり聴かないのですが、聴くたびに感心させられる演奏です。
うぐいす
2008/07/12 10:24

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