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zoom RSS ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第8番「悲愴」:シリーズテーマ(1)<PA-186>

<<   作成日時 : 2008/11/01 17:40   >>

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ブログ更新が滞りがちの最近ですが、いつの間にか11月に入ってしまい、だんだん朝は肌寒く感じられるようになりました。今朝も寒かったですが、でも日中になったら暖かくなってきましたねえ。
さて、本日から三連休ですので少しは筆を進めてみようと思います。
プッチーニ、とも思いましたが、何とはなしにベートーヴェンのシリーズテーマに切り替えました。
今回は第8番「悲愴」です。

この曲は第7番までとは違ってずいぶんと曲がたくましくなり、それと同時に曲想もロマン的なつくりになっていますね。
スケールの大きさの面ではすでに第7番の2楽章などにも彼の特質が現われてきてますが、曲の力強さと劇的な展開(深刻な序奏から情熱的かつ動的な主題への曲想の転換や、主題の展開の仕方など)が目立ってます。

ちなみに作曲は1798年。交響曲はまだ書かれていません。
また、弦楽四重奏曲で言うと第3番や第1番が書かれた頃です。
それらの四重奏曲が端正で比較的古典的なつくりになっているところを考えると、弦楽四重奏曲よりもピアノ・ソナタの方が彼の後の作風を先取りしているかのようにも思えます。
あと、この「悲愴」というタイトルですが、これは珍しくベートーヴェン自身が標題として名付けたようです。

曲の中身のことについてはあまりにも有名なので、詳しく書くのはやめときます。

さて、演奏についてです。
この曲はナットが一番好きです。
基本は端正ですが、同時に非常に情熱的な演奏を行ってます。
1楽章の主題の裏で、左手が奏でる伴奏がビリビリ響いているのが圧巻です。
2楽章は一転して落ち着きのある、でも変にもったいぶった感じではなくキリリと引き締まった感じで進みます。3楽章はまた情熱的な音楽になりますが、随所でセンスのいいフレージングも聴かせてくれます。
変にルバートかけたりせずとも、音楽を聴かせることができるということをうまく示してくれている演奏だと思います。

ギレリスのスタジオ録音盤は実に透徹した響きで、音色の透明感が素晴らしいですね。
あと、ギレリス特有の強靭なフォルテですが、たとえば他の三大ピアノソナタと比較すると、曲のつくりのためか「月光や「熱情」ほどには「ド〜ン!」とくるような衝撃はないです。
今回聴き直してみると、たま〜にくる衝撃を除けば意外とすんなりと聴けました。
この演奏も結構好きですね。

一方、ギレリスのブリリアント盤のライブ録音はスタジオ得音とは一変してダイナミックな表現です。
まさしく「鋼鉄のピアニスト」というのに相応しい、鋼の音色です。1楽章はその弾き方で疾走していきます。
一方、2楽章はスタジオ録音よりもしっとり感があります。
3楽章はその強靭な音は変わらないのですが、テンポが遅めでしかもインテンポで進みますので、がっちりした建築物のような印象です。
たまに聴く分にはいいですね。非常に面白いです。
でも、1・3楽章などはいつも聴くのはさすがに疲れてしまいそうです。

ケンプの演奏は相変わらず滋味のある感じです。
1楽章は、本当は遅めの序奏から速めのテンポで主題に移り変わるという、そのコントラストに妙があったりするわけですが、ケンプの場合は主題も遅めのテンポでその対比感はないですね。でも、逆にスケールの大きさを感じてしまいました。聴くときによってはちょっと弛緩してしまう感じもあるのですが(苦笑)、でもこれはこれで味がありますね。
あと、休符の部分とかの間の取り方がなかなか絶妙で、そのあたりに詩情を感じてしまいます。また、2楽章の詩情の豊かさもさすがです。
技術的には相変わらず訥々と弾いてますが、これがさらに味わいを深めているかも(笑)。まあ、バックハウスよりは味わいがありますね。

ブレンデルの演奏はある意味、うぐいすが疲れているときには「聴きやすい」演奏です。
落ち着いた味わいのある演奏で、他の個性的な面々の演奏と比べるとイチオシですごいと言わせるような種類の演奏ではないのですが、気軽に手を伸ばせる演奏です。
1楽章は思索的な雰囲気の序奏から勢いのある主部も含めてやりすぎず、バランスの良さを感じます。
2楽章も遅めのテンポでじっくり聴かせてくれます。中間部の沈潜とした様も良いです。

バックハウスは相変わらずオーソドックスというのでしょうか。
安定感がありますね。バックハウスを聴くといつも思うのですが、音楽の造形としては申し分なく演奏は素晴らしいのですが、ハッとするようなキラメキみたいな面白さがないのですよね。
結局聴く機会が少なくなってしまいます。

R.ゼルキンは音の粒もはっきりしてますし、がっしりしてますね。
1楽章は他の演奏と違い、序奏の部分から繰り返しを行ってますが、あまり長さを感じさせません。
2楽章もやや遅めのテンポでじっくり歌ってますね。
3楽章もカチッとしたスタイルで疾走していきます。
音が濁らず、スッキリ、キリッとした清潔感も感じさせます。
いい演奏なのですが、最近はナットやケンプの演奏の方が聴く機会が多くなってしまいました・・・

グルダは「悲愴」の演奏もうまいですねえ。
バックハウスと違い、相変わらずキラメキのかたまりのような演奏です。
音が踊っていて、音色もキラキラしています。生命力に溢れた音楽が表現できる天才ではないかと思います。
・・・と、持ち上げておいてなんなんですが、実はこの演奏も結局あんまり聴く機会がないのです(苦笑)。
いやあ、キラメキすぎちゃって、曲そのものを楽しむというよりもグルダの音楽性を楽しむ面が強いので、何とはなしに敬遠気味になってしまったのです。
なんというか、初期の曲とかあまり目立たない曲を面白く聴かせてくれるという面は今回の感想シリーズでの再発見で、いい演奏もあるのだということがわかったのですが、中期以降の曲自体に強烈な個性のある曲は逆にグルダの演奏は個性が強すぎるかなあと思ったのです。

シュナーベルの演奏ですが、意外と良かったりなんかして(笑)。1楽章とか3楽章で時折弾き飛ばしてるようなところはちと気になってしまうのですが、普通に弾いてるところとかの疾走感とか、しっとり聴かせる部分に関してはなかなかいい味わいがあるのですよ。
2楽章のような緩徐楽章は相変わらず絶品だったりします。

まあ、持ってる演奏はどれもそれなりに気に入っている部分があるのですが、結局どの演奏が一番好きかというとやはりナットの演奏になりますかね。
次いで聴く機会が多いのはブレンデルとケンプでしょうか。
疲れてないときはギレリスもいいですね。
あとは気分に応じて、といった感じでしょうか。


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コメント(8件)

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うぐいすさま お早うございます

ベトベンの連番シリーズですね〜。「悲愴」までやってきましたね〜。
私は、ゼルキン師盤、ギレリス・ブリリアント盤、グルダ盤、ナット盤と持っています。聴き比べはしていません。ゼルキン師の演奏も、長い間聴いていないような〜。
今回も、ナット盤を聴きながらコメントを書いています。
これは51年の録音のようですね。9番は53年の録音ですね。どうも、続けて聴いていると、8番と9番以降とではかなり音が違うように思います。
音の広がりが違うのでしょうか?私には9番以降の方が断然面白く感じられました。

iTunesにゼルキン師の演奏も入れていましたので、PCに繋いだ小さなスピーカーで聴き始めています。
私はやはりゼルキン師の演奏が好きかもしれません(爆〜)。冒頭など、何度も聴き比べています。ゼルキン師の方が、32分音符などを強調した弾き方をしていますね、それに、主部に入ってから上昇形になるところで、少しテンポを速めていくところなど、実に劇的な演奏をしているんだな、と久し振りに聴いてみて、感心しています〜。

ミ(`w´彡)
rudolf2006
URL
2008/11/02 07:55
rudolf2006さん、こんばんは!
コメントありがとうございます。
本日は外出してましたので返事が遅くなりました。

R.ゼルキン盤も入手したころはよく聴いてました。ゼルキン師もいい演奏ですね!音の粒が明確なため聴いていて気持ちいいです。でもいつの間にかナットの方をよく聴くようになってました。ナットの音楽は端正ながらも音の鳴らし方が非常に情熱的な作り方をしてるので、うぐいすはそちらの方を好むようになりました。9番以降の録音差はよくわかりませんでしたねえ。うぐいすのもってるのはベートーヴェン全集の方なので、rudolf2006さんのお持ちのCDとは録音状態が違うのでしょうか・・・
うぐいす
2008/11/02 21:50
うぎいすさん こんばんは。

「悲愴」ではなく「悲惨だ」…のだめカンタービレで有名になった曲ですね。

この曲の私のベストはフィッシャーです。1952年の録音なので、フィッシャーにしては聞きやすいほうです。ケンプをもっとロマンチックにした感じでしょうか。テンポの取り方が前のめりに感じられますが、聴いていると胸が詰まって来ます。ベートーヴェンの魂が乗り移ったかのように感じます。ベートーヴェンに関しては徹底してロマンチックな演奏かトスカニーニのようなリズミカルな演奏が好みなので、私見ではホロヴィッツと双璧です。

ナットの演奏は以前から欲しいと思っているもので、今年のマイクリスマスプレゼントにしようと目論んでいます。
ezorisu
2008/11/02 22:03
ezorisuさん、こんばんは!
コメントありがとうございます。

考えてみたら、E.フィッシャーのベートーヴェンって、フルトヴェングラーと組んだ「皇帝」しか聴いたことないです(ちなみに、この「皇帝」はグルダ/シュタイン盤と共にお気に入りの演奏です)。あっ、そう言えばバッハの平均率第1集の2番を聴いたことがありました。かなりロマン的な演奏だった記憶がありますね。

ベートーヴェンは徹底してロマンチックか、リズミカルな演奏のどちらか、ですか。
そういう意味では、ナットはどうかな・・・ナットの演奏は発売された当初はその端正な造形でシュナーベルと対比される演奏だったようですが、トスカニーニのようなガチッとした演奏とはずいぶん違うと思います。でも、かなり強烈なフォルテを駆使して情熱的な演奏もする人なので、ハマればのめり込める演奏だと思いますね〜。32番など、結構衝撃的な演奏です。お聴きになられたら、感想をお聞かせ下さい。
うぐいす
2008/11/02 23:06
うぐいすさん こんにちは

ご不沙汰気味ですが、お変わりありませんか。
ナットを聴くことが出来ました。先ずはお試しで全集ではなくてEMI輸入盤で第8・14・21・23番が入った1枚ものです。こちらは録音状態も良好です。

全て非常に良い演奏だと思います。フランス風のベートーヴェンと言えるのか、気品があると思います。フランソワやハイドシェックに続く方向性があるように思います。一音一音が美しいですね。ところどころ指の回らないところも芸のうちでしょうか(笑)。聴いていて「次に何が来るのか」という期待を感じます。

おそらく、これから書かれると思いますが月光、ワルトシュタインの第3楽章も鮮やかですね。良い演奏をご紹介いただき、ありがとうございます。
ezorisu
2008/12/06 09:29
ezorisuさん、こんばんは!
再びコメントありがとうございます。

ナットの選集を入手されたのですね。お気に召されたようで何よりです!フランス風のベートーヴェンですか。確かにその端正な造形に気品を感じますが、それと同時に、爆発する情熱的な強音に圧倒されてしまいます。それでも、ドイツ的な重厚な演奏というよりはラテン的な明快さが特徴なのかもしれません。この際ですからいっそのこと全集も入手してしまいましょう!(笑)
うぐいす
2008/12/07 20:12
ナットの第2楽章が、実に良いですね。
ピアノの紡ぎ出す音が、しみじみと心に沁み込んできます。
改めて、ナットというピアニストの実力を感じる演奏だと思いました。
多分、録音のエンジニア(なんて云う名前だったかな、有名な人だったみたいですね)の腕も、おおいに寄与しているのでしょうが・・・。
隠れバックハウスファン
2009/11/28 17:27
隠れバックハウスファンさん、こんばんは!
コメントありがとうございます。
このシリーズ、この「悲愴」から1年経った今でも19番までしか進んでないのですねえ(苦笑)。ちとペースを上げないといけませんね。

あらためてナットの「悲愴」を聴いてみて、やはりこの頃と感想は大筋変わってないです。この録音のエンジニアは「ワンポイント録音」で有名なアンドレ・シャルランですね。確かに自然な感じの音ではありますが、うぐいすの持っているCDは少々音が劣化しているのか、音が引っ込んで聴こえるのが難点ではありますが・・・

ちなみに、この時点ではバックハウスは新盤しか知らなかったのであんまり評価してなかったのですたが、のちに知ることになる旧盤の「悲愴」はナットと共にお気に入りのひとつになっています(笑)。
うぐいす
2009/11/28 23:03

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