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zoom RSS ロマンへの回帰:バルトークの弦楽四重奏曲第5番<PA-259>

<<   作成日時 : 2009/07/19 21:26   >>

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昨日は家族で東京国立劇場へ出かけました。
昨年も行った歌舞伎鑑賞教室にうぐいすの妻が応募していて、なぜか(笑)今年も行くことになっていたのです。
演目は「矢の根」と「藤娘」でした。普段古典芸能にはあまり接する機会のないうぐいすですが、実際に舞台を見るととても臨場感があっておもしろかったです。短い演目ではありますが、じっくり堪能してきました。
それから、今日は午前中ちょっと散歩して、あとはぼ〜っとしてました(笑)。
三連休は明日まで。明日は何しようかな・・・

さて、今回のエントリーはバルトークの弦楽四重奏曲第5番です。

作曲は1934年。わずか1ヶ月で書き上げられた作品とのことです。
弦楽四重奏曲3番・4番の前2曲が非常に前衛的な作品だったのに対し、伝統的な和声への回帰の傾向が見られるようになっていて、特殊奏法も控えめです。一方で、前作との共通点もありまして、楽章構成がアーチ形式のシンメトリカルな構造となっています。

曲の趣はまさしくバルトークらしい野性味の溢れた土着的な魅力のある旋律で彩られています。しかしなんというか、4番などの前衛的な作品と比べて響きとしては刺激的な感触よりも、泥臭くて民謡風でどこか暖かみすら感じる音楽に聴こえてきます。
あくまでバルトークの作品の中では、ということになるかもしれませんけど。
前にも書いたかもしれませんが、バルトークの四重奏を聴いていると不思議とどこかお祭り囃子の太鼓と笛の競演といった趣を感じる時があります。一聴すると現代的で不協和音の連続の音楽のようで、実はすごく土着的で民謡風な親しみやすい顔も覗いているような気がします。考えてみたら、日本のお祭り囃子の音楽も、西洋のクラシカルな音楽とは違う、ある意味不協和音も伴う独特な音楽ですよね。

第1楽章は荒々しい連続音の続く主題に続き、音がさまざまに跳躍したり、落ち着きのあるどこか夜の音楽のようなメロディもでてきます。ピチカートが不気味で効果的ですね。その後自由な感じで各主題が展開されていきます。
民族音楽的な曲想が特徴的です。
再現部は主題が反行形で書かれてるんですね。上昇型の音型が再現部になると下降型、下降型は上昇型になっています。おもしろいですねえ、これ。楽譜見てないんで詳しくはわからないんですが、和声的な音の配置にもシンメトリカルな工夫してそうな気がします。
そうやって対比してみると、提示部はずいぶんとどっしりとした安定感のある音楽に聴こえますが、対して再現部はどこか狂気を含んだ高揚感のある異世界の音楽のようです。

第2楽章はトリルの呼応の後、実に深い静謐な夜の音楽の世界に入っていきます。
ずいぶんと調性感のある曲想で聴きやすいです。まさしく瞑想の音楽です。
何気に一度のピチカートですぐに指を離して2音奏してたり、変わった奏法も取り入れてますね。

第3楽章はスケルツォ楽章になります。「ブルガリア風に」と指定されていて、ブルガリアの民俗舞曲に由来した特殊なリズムを用いているようです。
土着的な民族舞曲風でおもしろいですよ。中間部で突然出てくる懐かしげなメロディもまたいいのです。(楽譜持ってないので、具体的にこれって言えないのがつらいところ)
あと、この楽章にはバルトーク・ピチカートが出てきますがあんまり目立ちませんねえ。なんかちょっとアクセント的に入ってるような扱いです。この楽章もずいぶんと調性感が感じられます。

第4楽章
ピチカートではじまるこの楽章、ピチカートのグリッサンドを実に効果的に使っていますね。この楽章、第2楽章と密接な関係にあるようで、ずいぶんと曲想が似ています。2楽章は夜の音楽といった風情ですが、4楽章はさらに幻想的な雰囲気をもった、不思議な世界に突入しています。
「ガガガガ・・」と続く連続音やうごめく低音の伴奏が印象的です。

第5楽章は勢いのある民俗舞曲風の主題です。この曲の中ではもっともバーバリズムを含んだ激しい楽章でしょう。第1楽章の主題も現れますね。グリッサンドの応酬とか激しく単純な音の連続はストラヴィンスキーの「ハルサイ」を思わせるような原始主義的な曲想も感じさせてくれます。でも、意外にあんまり刺激的な感じはここでも感じないです。

さて、演奏についての感想です。
最初にお気に入りの演奏を言ってしまうと、この5番に関してはダントツでハンガリーQの演奏が好きなのです。次点がジュリアードQ('63)でしょうか。
あとは、その時のお好みで、という感じで聴いてます。

ハンガリーQの演奏は何と言っても、音色が豊かで音に厚みも感じられてすごく聴いていて心地が良いのです。
この5番はバルトークが伝統的な調性感とか和声に回帰している分、土着的・民族音楽的である種のロマン的な趣が強く感じられる演奏がすごくぴったりくるのですよ。1番や2番を聴いてた時もハンガリーQやヴェーグQなどの演奏がすごくしっくりきたのも同様の理由です。
ヴェーグQの重厚感とかタートライQの泥臭いながらもどこかすっきりとした雰囲気の演奏もいい感じなのですが、こと5番に関しては圧倒的にハンガリーQがうぐいすの好みです。

ジュリアードQ('63)は、やはり基本的な視点として現代音楽というか、鋭いまなざしで捉えています。先鋭的かつ、くっきりと構成がよく見える演奏になっています。
とても立派な演奏です。('50)になると、さらにもっと情熱的な雰囲気がありますが、演奏としては('63)の方が完成度は高いのでこちらの方がお薦めです。
ハンガリーQとは違う、見通しの良い、現代的な演奏を聴きたいときはこの演奏はいいですね。あと、ケラーQのもスマートでいい感じです。
ただ、上記の通り、この5番の場合、うぐいすは先鋭的な味わいよりもロマン回帰的な演奏が好きなので、ここら辺の演奏はあんまり聴かなくなってます。

ということで、うぐいすはハンガリーQの演奏が好きなのですが、この曲に何を望むかは人によりますのでハンガリーQの演奏は人によっては先鋭さに欠けると感じる方もいるでしょうか?
そういう方にはジュリアードQ('63)が良いかもしれません。

今回のエントリー、読み返してみると演奏よりも曲の感想の比重が大きいですね〜。
5番そのものが好きということももちろんありますが、むしろ好きな演奏が比較的絞られてるところが大きいかもしれません。



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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
うぐいすさま お早うございます〜

歌舞伎鑑賞教室に行かれたんですね、良かったですか?東京は歌舞伎は毎月公演があります、良いですよね〜。

バルトークの弦楽四重奏曲、このブログを拝見して、ファイン・アーツ盤を取り出して、聴いています。これはかなり聴きやすい曲になっていますね〜。最終楽章はオケコンの最終楽章に似ていませんか?私にはそんな風に聞こえました。

これくらいの曲だと、私にも聴ける感じがします。なかなか良い曲ですね〜。古典に回帰している曲かもしれませんね〜。

ミ(`w´彡)
rudolf2006
URL
2009/07/20 06:16
rudolf2006さん、おはようございます!
コメントありがとうございます。

うぐいすはrudolf2006さんのように歌舞伎への造詣が深いわけではないため出演者の細かな芸のレベルはよくわからないですが、演目に対しては純粋に楽しむことができました。役者さんも良かったんですが、舞台右側に出ていた歌と三味線の合奏(大薩摩っていうんでしたっけ?)もとても緊密で、優秀な室内楽を聴いている感じで面白かったです。

バルトークの5番は旋律線がはっきりしているところが多いですし、あんまり刺激的な響きも少ないので3・4番と比較して聴きやすい曲になってますね。特に2〜4楽章あたりは親しみやすいんではないでしょうか。5楽章は、うぐいすは「オケコン」よりも「弦チェレ」に近い感覚を持ってます。この曲の中では比較的バーバリズムが表面に出てきている曲想ですね。でもリズムの処理がとても工夫されてるので聴いていて飽きないですね。
うぐいす
2009/07/20 10:00
うぐいすさん
ハンガリー四重奏団のバルトーク5番をお好みでしたら、ORFEOから出ている同四重奏団の1961年ザルツブルク・ライブも良いですよ!
私の個人的には、ジュリアードかなと思いますが。もっともヴェーグ、タートライは未聴なので、あまり発言権がありませんが。
ところで最近、ジュリアードのRCA時代のドビュッシー/ラヴェルを聴いたのですが、後年のCBS時代より上ではないかと思うほど気に入りました。RCAへのバルトークの1回目録音も聴いてみようかと思っています。
アルトゥール
2009/07/22 14:34
アルトゥールさん、こんばんは!
コメントありがとうございます。

ハンガリーQはライヴもあるのですか。これはいい情報をいただきました。チェックしておきます。それはそうと、ジュリアードQの演奏も素晴らしいですね!あんな精緻で緊張感のある演奏はなかなかないと思います。ちなみに1950年録音の演奏もいいですよ。精緻さよりも情熱の方が優っている感じです。モノラルではありますが聴きにくい録音ではありませんし、一聴の価値がある品です。特に3・4番などの尖鋭的な曲は絶品です。この演奏に慣れてしまうと1963年盤の方がスマートすぎるように思う部分もありますね〜。
うぐいす
2009/07/22 21:26

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