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zoom RSS カラヤンの「指環」(ワーグナー)/<PA-003>

<<   作成日時 : 2007/01/07 15:09   >>

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「ニーベルングの指環」の第3回〜カラヤン/ベルリンフィル('65−'70)〜です。
1.まずは全体です。
カラヤン特有の、耽美的/情緒的な演奏。圧倒的な迫力を求める曲想も、ベルリンフィルということもあって、やはりそれなりに凄いですね。しかし、そういった強奏部分よりも効果を発揮しているのは弱音部の美しさやフレーズ表現。
特に感心したのは「ラインの黄金」や「ワルキューレ」第1幕、あと「ジークフリート」の森のささやき」のような部分といったところです。
これらの部分は、これまでに聴いてきた演奏の中で効果が最も成功しています。

2.歌手について
肝心の歌手は、声の魅力という意味では他の演奏に比べて劣るかもしれません。
少し粒が小さくなってしまっていますが、逆にあまり大げさな歌い方でないところに魅力を感じる向きにはいいかもしれませんが。
そんな人はワグネリアンじゃないかもしれないけど(笑)。

3.「ラインの黄金」
今まで買った演奏の中では、最もおもしろいと思いました。目からうろこが落ちました。
もともとこの楽劇そのものの内容が浅い感じがして(笑)、そんなに好きではなかったのですが、カラヤンのやり方が最もこの楽劇に合ってるのではないかと思いました。
あまり重厚だったり、歌手が立派だったりするよりも、抒情的で流麗に音楽が流れて行くほうが「ラインの黄金」の演奏としてはいいように思います。歌手ではシュトルツェのローゲが面白いですね。ヴィントガッセン・スヴァンホルムのようなハンサム風なローゲと違って、性格俳優的に思いきりコミカルに演じています。いかにも曲者という感じが現れていて、思わず惹きつけられます。
実は、シュトルツェを聴く目的で「ラインの黄金」聴いてる時が多いかもしれません。
ケレメンのアルベリッヒ、ヴォールファルトのミーメも好演です。
フィッシャー=ディースカウのヴォータンもこの演奏の中でなら結構合ってるかもしれません。

4.「ワルキューレ」
第1幕は全体を通して最も抒情劇としての路線にあった部分と思われます。
ジークムントのヴィッカーズは声質についてはちょっと微妙ではありますが、歌いまわしというか、表現はうまいですね。普通に聴けます。ジークリンデのヤノヴィッツは非常に繊細な歌で、このカラヤンの路線にあっていると思います。
また、「ワルキューレ」2幕冒頭部分とか、凄く爽やかで気持ちがいいですね。
清純で可憐(笑)・絶叫しないブリュンヒルデ(クレスパン)、威嚇しないヴォータン(スチュワート)といった感じ。聴く時によっては疲れなくて良いです。
ただ、例えばヴォータンのモノローグのあたりなど、ずっと聴いてるとやや単調で飽きてしまうときもあります。
あと、圧倒的な声の競演を期待する向きには合わない演奏。そういう方には、例えば、ワルキューレ3幕のワルキューレの騎行の歌が管弦楽に埋もれたり、ヴォータンとブリュンヒルデのかけあいはもうちょっと迫力がほしいとか、その他いろいろと不満が残るのかもしれません。
その一方で、表現に非常に細やかなフレーズ処理がされており、そういった繊細な劇としての魅力を聴くべき演奏なのかとも思います。

5.「ジークフリート」
ミーメはシュトルツェ。ショルティ盤以上に突き抜けた演技を披露しています。ショルティ盤が刷り込み演奏なので、初めはこのカラヤン盤のシュトルツェはやりすぎに聴こえましたが、慣れたらこれはこれでなかなかいいです。
ジークフリートのト−マスはやや生真面目な歌い方で声は若々しく悪くはないのですが、もうちょっと天衣無縫なヴィントガッセンの方に魅力を感じます(走り癖はいやですけどね)。
ケレメンのアルベリッヒも好演だが、ナイトリンガーより少し線が細くなったような感じ。ブリュンヒルデは「ワルキューレ」とは違ってデルネシュ。これまたスケールは小さい。個人的には「ワルキューレ」のクレスパンの繊細なブリュンヒルデというのが結構良かったので、そっちで聴いてみたかった気もします。デルネシュも悪くはないんですけど。
結局、歌手の中ではシュトルツェがおもしろかったですが、それ以外はどれもそこそこに好演という感じでしょうか。特に凄いと思わないが、けなすほどの欠点も見つからないです。
歌手が少し小粒という最初の感想どおりなのです。でもこれって十分けなしてますかね(笑)
でもカラヤンのつくる音楽にはうまく合っていますね。
歌が突出せず、逆に音楽の中に溶け込んでいるという言い方もできるかもしれません。やはり聴くべきはカラヤンの全体としての解釈となりますが、これに関しては上記と同様の傾向。
「森のささやき」がこんなにデリケートな音楽になっているのは他の演奏にはなかったし、そこここにカラヤン節が浸透しています。
最後の方はちょっと淡々と進めているようにも聴こえて、ちょっと聴いてる方の集中力がなくなってしまうときもあります。

6.「神々の黄昏」
これも上記とほぼ同じ路線。カール・リッダーブッシュのハーゲンも悪辣なキャラクターを演じているというより、立派なバリトン歌手の歌、という感じです。
「黄昏」に関してもあまりドロドロした演奏になっていないため、逆にショルティ盤では結構聴きとおすのがつらいところ、例えば黄昏の2幕以降もあっさりしていてすんなり聴けました。
まあ、「黄昏」の後半に関しては、ショルティよりはこのカラヤン盤のようなあっさりした演奏の方が私個人的にはマシ。でも聴いてると飽きてしまう時も多いですが。このあたりはベーム盤の方がしっくり来ますかね〜。

7.まとめ
全体を通して、白熱した劇的なドラマを聴くというより、繊細な抒情劇を聴くといった趣きがあります。
そういう意味では、音は悪くてもクナッパーツブッシュのライブの方がむしろ、ドラマとしてのリアリティがあって、聴き手に圧倒的な迫力で迫ってきます。
カラヤンのはどちらかというと美しいおとぎ話の世界に浸る演奏。
録音もバランスが高音側にシフトして聴こえる点もそう思う要因か?
これも結局好みや聴く時の気分で聴き分けるという話になるのですが、決して悪い演奏ではないです。
ちょっとだけ気になったのは、楽劇毎で同じ役柄でも歌手のキャスティングが違ってて統一感ないところ。まあ、大体カラヤンの音楽が徹底していて、歌手の個性はもともとあまりないから関係ないといえばないかもしれないですね。

好みという話をしましたが、私は意外とこの演奏聴いています。特に「ラインの黄金」はよく聴いてますね。
カラヤン盤は基本的に、指環の中ではいわゆる「変化球」のような気がしますけど、逆に音色がきれいで重厚でない分、身構えもせずに気軽に音色そのものに浸って聴ける気がします。でも長時間聴いてると刺激が少なくて単調に聴こえてくるので、飽きてしまうときも多いけど(笑)。
逆にドラマチックな演奏はたまに感動したいと思ったときに聴くというのがいいんでしょう。
毎日感動してたら神経が持たない気もしますし。というか、そもそも聴き慣れてしまって、ありがたみも感動もなくなってしまうかな。

さて、次のPAは「<PA-004>クナッパーツブッシュ/バイロイト('58)」の予定です。

えっ、なんで年代順に行かないかって?それは聴いた順番がそうだからです。
('58→'56'→57の順で買ったので・・・)
書き溜めた感想がそのように構成されてしまっているのです(笑)
ワーグナー : 「ニーベルングの指環」全曲
ワーグナー : 「ニーベルングの指環」全曲

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